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3.一物全体を食べる
〜丸ごとのイノチをいただきます!〜
●いただいたイノチに対して感謝を!
「いちぶつぜんたい」と読みます。「一つのものを丸ごと食べる」という意味です。生命あるものは、すべてそれ一個で調和が保たれているので、皮やアクも含めた丸ごとを食べて整えるという考え方です。
「食べる」ということは、その対象が植物にせよ、動物にせよ、イノチをいただいて自分のイノチを育てるということになります。いただいたイノチに対して感謝するのであれば、決して部分を無駄に捨てることなく、丸ごといただく。そうしないとそのイノチを生かしたことにはならないのではないでしょうか。しっかりときれいに食すことがいただいたイノチへの礼のような気がします。
かつて狩猟時代には猟で獲た動物を食べたり、油を取ったり、あるいは皮を衣類などにして、丸ごと活かしていました。貧しかったからといえるかもしれませんが、これが本来の人間と食べ物の関係。食べ物を粗末にしない=イノチを粗末にしないことに通じると思いませんか。
●栄養まるごと、繊維質たっぷりで健康にいい! ゴミも少なくなって経済的で環境にやさしい
そんなふうに言われても…、そんなの何か辛気くさいし、面倒くさいわ!と思われた方、こんな風に考えてみてはどうでしょうか。例えば、ニンジン。皮をむいてしまうと、豊富に含まれるβカロチンを摂ることができません。葉っぱにも多くのビタミンやミネラルが含まれていますが、葉付きでなければそれも得られません。また、ゆでこぼしをしていては、ビタミンCなどの水溶性の成分がお湯の中に出ていってしまいます。こんなふうに、もともと野菜に含まれていた栄養分を無駄に捨ててしまうなんて、ずいぶんもったいないことですよね。それに皮や葉もすべて使えばゴミだって減ります。おいしく調理して、栄養まるごと、繊維質もたっぷりで健康にいい、そのうえゴミも少なくなって、経済的で環境にやさしい。こうした食べ方ならまさにエコロジーです。
おいしく健康的に調理して、食物のイノチに感謝して食べる、そしてゴミも減る。まさに“体と心と環境に優しい食術”です。
●丸ごと食べる、調理するが基本!
具体的にいうと、部分食を避け、魚は頭から尾まで、野菜は根から葉まで全体を食べます。魚などは小さなものを丸ごとです。逆にいえば、部分食しかできないような大きな動物や魚は、あまりたくさん食べない方がいいということになります。穀物は精白しないものをまるごと、精製・抽出・合成した塩、砂糖、油、調味料、添加物やそれらを使った加工食品はなるべく避けます。そして野菜は皮をむかず、ゆでこぼさないで調理するのが基本です。アクも水にさらさずに、熱で旨みに変えていただきます。例えば、ゴボウですが、さらさずに油でしっかり丁寧に炒めます。すると、はじめは土くさかった香りが、甘くやさしい香りに変わっていきます。これがアクが旨みに変わった瞬間です。こうして丸ごといただきます。
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「一物全体を食べる」ために
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1.できるだけ安全で旬の食材選びを
まるごとの食材を食べるので、農薬残留の心配のない無農薬や有機栽培の野菜を選びたいですね。魚も抗生物質などの使われていない近海の天然物など。野菜を1%ほどの塩水で浸け洗いしたりすると、農薬などの化学的な害が多少取れて生き生きするという説もあります。
2.野菜洗いも丁寧に
ごぼうやニンジン、大根などはできるだけ大地のエネルギーのある土付きのものを買うといいのですが、ここぞとばかりゴシゴシ洗わないでくださいね。大切な栄養のある皮が取れてしまいます。力が入りすぎないように野菜を逆手に持ったり、洗う道具も小さなたわし(もちろん金属でない)や和布などで工夫してみてください。
3.調理も心をこめて
じっくり、あわてず、静かに心を込めて調理しましょう。せっかくの大地や海のイノチをいただくのですから作るところから感謝して。これぞスロー・クッキングです。時間がないときも、動作は急いでいても心だけは余裕を持たせていきましょう。
『しおのみち』2003年冬号掲載
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